大学院博士後期課程の教育研究コース
■理工学際創成コース
理工学際創成コースでは、理工系の専門的知識・技能を身に付けた上で、その応用的側面を重視した学際的で実践的な教育研究を行います。これまで総合理工学研究科では、ナノテク分野の島根大学重点研究プロジェクト、さらにはそれらの学際領域研究から派生した教育プログラム「医・理工・農連携プログラム」により、低コスト、簡易、実用性を兼ね備えた独自のナノ材料技術を用いた安心、安全で高機能なナノ医療技術の開発、超低コスト次世代塗布型太陽電池や高性能電力貯蔵用デバイスの開発、伝統的たたら製鉄技術のナノテクを用いた解析と特殊鉄鋼の創成など、理工系分野の知識・技術を基にした学際的研究を実施してきています。理工学際創成コースでは、これらの研究実績を受けて理工系分野の高度な専門知識・技術を修得した上で、理工系分野と医学・農学分野の学際領域をはじめとする種々の学際領域における教育研究を行います。本コースは、島根大学重点研究プロジェクト等と密接に連携し本学のグローバル人材養成の中核になることが期待されています。
■数理・物質創成科学コース
数理・物質創成科学コースでは、数理科学、物理学および化学等の理学系分野と材料科学、およびそれらの境界領域に関する高度な教育研究を行います。これからの理工系分野は、自然現象の解析・解明や理論的体系化、及び新たな産業と技術文明を拓くべく期待されています。また、地域に密着した新技術の創出を行うことによる地域産業の振興への貢献も重要です。そこで、数理科学、物理学、化学等に関する理学分野の教育研究と、それらを基盤とした新機能材料の開発や化学反応の制御による新物質の創成を目指した材料科学に関する教育研究を行います。
■地球科学・地球環境コース
地球科学・地球環境コースでは、理学系分野における資源科学や地球科学と、工学系分野である災害工学、建築学、材料工学及びそれらの境界領域における高度な教育研究を行います。近年、地下資源の枯渇、地球科学的環境悪化および自然災害の大規模化が世界的に深刻化しています。そのため、現在の地球に至る歴史と現在の地球の姿をこれまで以上に深く理解し、地球物質系の構造と運動法則の解明、人類・生物・固体地球の密接な相互作用による地球史・地球環境変遷史の詳細なる復元、および地質学的特性把握の上に立った防災工学の確立に関する教育研究を行います。また、上記の地球環境を理解した上で、高齢化社会やグローバル化に対応する健康で安全な住環境の創造、地球環境保全のための“環境にやさしく人と調和するエコマテリアル”の開発、資源節約のための高度で有効な材料加工法・利用法の確立、材料のリサイクル使用法・廃棄方法の確立など、建築分野・生産設計分野における発展に貢献できる高度な専門知識と問題解決能力を備え、広い視野を持って国際的にも活躍できる人材養成のための教育研究を行います。
また、地球科学・地球環境コースには「英語による「地球」教育研究特別プログラム」(以下、「「地球」特別プログラム」という)があります。「地球」特別プログラムでは、最先端の地球科学及び地球資源の開発と保全、地球環境の解決、大規模自然災害の予測と防止などに関する教育研究を、すべての授業・研究指導を英語で行うことにより、専門知識・技術の修得と共に、国際感覚が優れた人材を養成しています。本プログラムは主としてアジア及び環太平洋地域の発展途上国からの留学生を受け入れるとともに、日本人学生を加え、国内及びアジア周辺国のグローバルな人材養成のための教育研究を行います。
■機械電子情報工学コース
機械電子情報工学コースでは、機械、電気、電子、情報等の工学系分野における高度な教育研究を行います。現代の高度情報化社会構築のための情報技術を支えるものは、電子技術、通信技術、計算機技術などであり、さらにこれら技術を集積化し、統合化するシステム技術です。これらの技術は電気、材料、機械、計測、制御などの基礎技術上に発展し成立しています。情報技術は、また、情報技術のシステム化の根幹をなす情報通信および電子機械の開発技術と、情報技術の要素技術の根幹をなす高機能電子材料および電子デバイスの開発技術との密接な結合によって発展します。そこで、機械電子情報工学コースでは、情報通信システム工学、電子機械システム工学、集積半導体デバイス、スピン機能電子工学および光電子機能工学分野における電子機械システムの知能化・高機能化及び、機能集積の観点から幅広い教育研究を行い、より高度な機能を発揮させる新世代情報通信システムの構築を目指す教育研究を行います。そして、上記分野の開発技術レベルを高く維持して、地域産業の種々のニーズを発掘し、地域産業の振興に貢献します。