島根大学総合理工学部の荒川弘之准教授が参加する研究グループが,ベイズ推定を用いた速度分布関数の新たな解析法を開発しました

公開日 2021年10月22日

 原子や分子のような微小な粒子の集まりは温度が高ければ高いほど高速に動き回り,固体から液体,液体から気体へとその状態が変化します。気体をさらに加熱すると,原子が電子とイオンに分かれ,それぞれが別々に動き回る物質の第4の状態,プラズマに変化します。
 プラズマでは個々の電子やイオンが様々な速度で運動し,それらの速度の統計性を表す速度分布関数を調べることが,そのプラズマの性質を理解することに繋がります。
 これまでは実験から得られたノイズを含むデータにどの理論モデルが対応するかを統計的に判別する方法がありませんでしたが,今回,IT分野などで幅広く用いられている「ベイズ推定」という統計学的方法を基礎とし,実験データに対して適切な速度分布関数の理論モデルを選択する新たな解析方法を開発しました。
 本研究には,島根大学総合理工学部機械・電気電子工学科の荒川 弘之 准教授のほか,九州大学,日本大学,広島大学の研究者らが参加しており,九州大学情報基盤研究開発センターの徳田悟助教が筆頭著者となる論文が,2021年10月21日付で国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

図:
(上)PANTA実験装置
(左下)レーザー誘起蛍光法によるイオン速度分布の計測データ
(右下)理論モデルの候補とデータに対する妥当性を表す確率。結果から3番の理論モデルが妥当であると示されました。

 

 

 

 

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